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お茶の時間


 多発性骨髄腫と診断されてから13年、頑なに一人暮らしにこだわり、近所の人とのお茶の時間を大切にしていたおばあちゃん。転んで圧迫骨折をしてしまい、居間で横になりテレビを見ている時間が長くなっても、近所の人を呼んで、手伝ってもらいながらもお茶の時間を楽しんでいた。

 そんなおばあちゃんが入院したのは、紫陽花が見頃を迎える時期だった。

 体調が悪くなり、「寝たきりになるリスクが高い」という医師の懸念を押し切ってまで入院したおばあちゃんは、今、日に日に出来ることが少なくなってきている。ベッドの上だけで過ごす時間が大半となり、自由に歩き回ることも出来なくなった。

 そんなおばあちゃんは、最近、お昼ご飯時に緑茶を入れてあげると「真帆が来ると緑茶が飲めるから楽しみにしてるのよ~」と嬉しそうにしている。大好きだった緑茶をずっと我慢してきたおばあちゃんだからこそ、今おいしいお茶を飲んでほしくて病院へと頻繁に顔を見に行っている。

 きっと、おばあちゃんと会話が出来なくなる日はもうすぐなのだろう。

 その日までは、おばあちゃんと食後の緑茶を手に、おしゃべりを楽しみたいと思う。

〈濱中真帆/未分化胚細胞腫 ・年齢​ 26歳 ・罹患した年齢 16歳)

*2018年7月ご投稿の作品です

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