触れること
- 小泉まや(患者家族/父:胃がん 母:卵巣がん 祖父:肺がん・38歳)
- 2017年1月3日
- 読了時間: 1分

肺がんで脳梗塞をおこしている祖父は、片目が見えにくくなっています。 私が手をさしだすと「のめっこい手だ。」と言って そのごつごつした手で私の手を撫でまわします。 のめっこいとは、秩父・北関東地方の方言で 「手触りがなめらか」という意味です。 おじいちゃんの手にこんなに触れることなんてこれまであったかしら。 こんなに骨ばったガサガサの手で私のおむつを替えたのかしら。 おじいちゃんの手もおばあちゃんの手も 触れたもの同士は伝わり、感触は皮膚を伝って心に届き、残ります。 触れる。 言葉に迷ったら、触れてみる。 そのやさしさにかなうものはありません。